花子とアン第155回 「赤毛のアン」がついに出版! しかし宇田川先生が、、、
書斎
花子は早速 ANNE OF GREEN GABLES の推敲を始めました。
コーヒーを持ってきた英治に花子が聞きます。
「ねえ、英治さん、カモメってどんな風に飛ぶと思う?」
「カモメ?」
花子は翻訳に迷っているようです。
「うーん、飛んでカモメって、漂ってるように見えるよね。
こう、海の上を、スーッと、、、」
「それだわ!スーッと、、、
水の上にスーッとおりてきて、、、」
♪
英治に礼を言う花子。
Aren’t those gulls splendid? Would you like to be a gull? I think I would—that is, if I couldn’t be a human girl. Don’t you think it would be nice to wake up at sunrise and swoop down over the water and away out over that lovely blue all day; and then at night to fly back to one’s nest?Oh, I can just imagine myself doing it.
(from "ANNE OF GREEN GABLES - CHAPTER 5: ANNE'S HISTORY")
あのかもめ、すばらしいわね。小母さん、かもめになりたくない?あたしはなりたいなあ―もし人間の女の子になれないとしたらね。日の出と一緒に起きて、水の上にスーッとおりてきて、あの美しい青い海の上を遠くまで飛んで夜は自分の巣へ帰ってくるなんて、すてきだと思わない?ああ、あたしそうしているところが目に浮かぶわ。
(「赤毛のアン 第5章 アンの身の上」より)
”’God’s in his heaven, all’s right with the world,’” whispered Anne softly. softly.
(from "ANNE OF GREEN GABLES - CHAPTER 38: THE BEND IN THE ROAD")
「神は天にあり、世はすべてよし」とアンはそっとささやいた。
(「赤毛のアン 第38章 道の曲り角」より)
残すは、本の題名です。
居間
「ではこれで、最終入稿いたします」
そして作品の題名を話し合う花子と小鳩書房の門倉と小泉。
花子は考えた案を提示します。
- アン・オブ・クリン・ゲイブルズ
- 緑の切妻屋根のアン
- 夢見る少女
- 窓辺の少女
- 窓辺のに倚(よ)る少女
「アン」は残したほうが良いと主張する小泉。
それでは想像の幅が狭められると主張する花子。
「それで村岡先生は、少女になさりたいんですね」
「ええ、これはアンだけの物語でなく、自分の物語でもあるのだと受け取ってほしいんです」
- 想像のツバサを持つ少女
- グリーンゲーブルズの少女
- 島の少女
- 曲り角の先の少女
- 窓辺のに倚る少女
- 窓辺のに倚るアン
なかなか決まりません。
夜
結局「窓辺に倚る少女」に決まったようです。
「随分とおとなしやかな題名になったのね」
納得いかない様子の美里。
すると電話が、、、
小鳩書房の門倉社長からです。
「あの、題名なんですがね」
「はい」
「小泉が、『赤毛のアン』はどうだろうというんですが、いかがでしょう」
「はあ?『赤毛のアン』?」
納得いかない様子の花子。
しかし小泉は、、、
「アンは赤毛を、自分の最大の欠点だと思っていますよね。
でも、その欠点こそがアンを魅力的な人物像に仕立て上げていると獏は思うんです。
つまり、アンの素晴らしい個性です!」
「私は反対です」
想像の余地がないと反対する花子。
「嫌です!」
花子は電話を切ります。
「『赤毛のアン』、つまらない題でしょ?」
花子は英治に同意を求めます。
「『窓辺のに倚る少女』の方がずっといいわよね?」
「そうかしら?赤毛のアン、、、いいじゃない!素晴らしいわ。
ダンゼン『赤毛のアン』になさいよ、お母様!」
「でも、、、」
「『赤毛のアン』っていい題よ。『窓辺のに倚る少女』なんておかしくって」
英治も美里の意見に賛成です。
悩む花子。
「『赤毛のアン』にすべきよ!」
、、、
電話をする花子。
「先ほどは大変失礼いたしました。
実は、あの、、、娘が『赤毛のアン』がいいと言って譲りませんの。
若い人の感覚に任せることにしました。
やはり『赤毛のアン』にします!」
「そうですか!ありがとうございます!」
「どうぞよろしくお願いいたします」
こうして、「赤毛のアン」が誕生しました。
居間
「できました」
刷り上がったばかりの「赤毛のアン」を渡す小泉。
本を手にする花子。
夜
「はい」
英治に本を渡します。
「とうとうできたね」
「はい、これは美里へ」
美里にも本を渡します。
本の表紙裏には、、、
愛する美里へ 母より
二人に礼を言う花子。
「おめでとう、お母様」
縁側
月明かりで「赤毛のアン」を読む英治。
「この女の子、ホントに君みたいで面白いよ」
「スコット先生との約束を果たすのに13年もかかってしまったわ。
先生にもお見せしたかった、、、」
スコット先生は花子に原書を渡した数年後、祖国カナダで亡くなりました。
回想
I HAVE a book to give you.
花子とアン第136回 I HAVE a book to give you. - 朝ドラ「花子とアン」でこぴっと英会話
I don’t know what lies around the bend, but I’m going to believe that the best does.
from 'ANNE OF GREEN BABLES - CHAPTER 38: THE BEND IN THE ROAD')
曲り角をまがったさきになにがあるのかは、わからないの。でも、きっといちばんよいものにちがいないと思うの。
(「赤毛のアン 第38章 道の曲り角」より」
縁側
「明日、書店に並ぶのが楽しみだね、、、どうしたの?」
「この本、日本の少女たちも面白いと思ってくれるかしら?」
「曲り角の先は、曲がってみなきゃ分からないよ」
「そうね」
寄り添う花子と英治。
1952年(昭和27年)5月10日
「赤毛のアン」がついに出版されました。
玄関
戸をたたく音。
「どちら様ですか?」
玄関を開ける花子。
「てっ!」
そこには鮮やかな宇田川先生が!
「お、お久しぶりです」
花子を睨む宇田川先生。
♪ Black Witch
「どうなさったんですか?」
「何なのよ、これは?」
「赤毛のアン」を掲げる宇田川先生。
目を丸くする花子。
睨む宇田川先生。
またひと波乱あるんでしょうか?
それでは今日はこの辺で、
ごきげんよう、さようなら