花子とアン第150回 目を閉じるお父 吉太郎と醍醐さん Hey, Mama-san!
村岡家
電話をする花子。
「あの、、、ラジオ出演のお話、ぜひ受けさせてください」
微笑む英治。
甲府
野良仕事から帰ってくる吉太郎とお父。
「おけえり、ずっと待ってるだよ」
笑顔で迎え、戸を開けるお母。
「醍醐さん?」
♪
驚く吉太郎。
慌てて醍醐さんの前に正座します。
「醍醐さん、どうしてここに?」
「直接、吉太郎さんに、お伝えしに来たんです。
わたくしが、どれほど怒っているか。
すっと探してたんですよ!
心配で心配で、夜も眠れなくて」
謝る吉太郎。
「もうこれ以上、吉太郎さんを待っていられません!
これ以上待ってたら、ヨボヨボのおばあちゃんになってしまします。
わたくしも、吉太郎さんと一緒に、葡萄酒を作ります!」
「てっ!」
「て~~~ぇ」
「お父様、お母様、、、わたくしをここに置いてください!」
「あの、醍醐さん?」
「わたくし、帰れと言われても帰りませんから」
「あなたは、いつも肝心なことを、自分からどんどん先に言ってしまう!」
「ごめんなさい、わたくし、、、」
「お父、お母、おら、この人といっしょになりてえ」
醍醐さんに向き直る吉太郎。
「こんなボロ屋に、本当に来てくれるんですか?」
「はい、、、はい!」
嬉しい醍醐さん。
「てっ!吉太郎がやっとこさ結婚するだと!」
リンさん!あーあ、これはあっという間に、、、
微笑む吉太郎と醍醐さん。
1946年(昭和21年)1月、JOAK
花子が5年ぶりにラジオに出演する日。
黒沢が花子に挨拶します。
今はJOAKもGSQの厳しい統制下です。
Se: Sergeant
H: Hanako
St: Staff
K: Kurosawa
Su: Superior
Se: Hey, Mama-san!
H: Mama-san?
Se: Today's copy. It's been censored so (inaudible)
H: Yes, I know.
Se: Wow, you only chibi but you can really speak English, huh? How about that?
H: Chibi...
Se: Don't (inaudible) any trouble.
...
Se: There's fine foutain pen. Can I have it?
St: It's my father's memento...
Se: What was that? Did you hear what I just said? Who won the war?
H: Mister!
Se: Have You got a problem? Mama-san?
H: I believe that pen is the keepsake of his father. So give it back!
K: Muraoka-sensei...
H: Yes, Japan lost the war. But do you think that gives you the right to behave like this? You meet the woman for the first time and say "Hey, Mama-san!" You should be ashamed!
Se: Now, now, now...
H: Be quiet! You are a member of the occupation force. So act like one.
...
Su: (inaudible) the lady said. (inaudible) the gum now. Apologize, soon.
Se: (returning the pen) I sincerely apologize, ma'am.
Su: Wait for me out side.
Se: Yes, sir.
Su: (inaudible) apologize for some of our man's rudeness. I'm sorry.
H: (bowing)
K: What did he say?
H: He said he apologized the rudeness of his man.
Su: You know, you almost like a Portia. Do you know (inaudible) Portia?
H: Yes, from William Shakespeare's "The Merchant of Venice."
Se: ヘイ、ママさん!
H: ママさん?
Se: 今日の原稿だ。検閲済みだから、勝手に変更するなよ。
H: 承知しています。
Se: へえ、あんたそんなチビなのに本当に英語がしゃべれるんだな。
H: チビ、、、
Se: 問題起こすなよ。
...
Se: いい万年筆だな、くれよ。
St: この万年筆は父の形見で、あの、、、
Se: 何だ?言うことが聞けないのか?戦争に勝ったのは誰だ?
H: ミスター!
Se: なんだい、ママさん。
H: その万年筆はお父様の形見だそうです。返しなさい!
K: 村岡先生、、、
H: 確かに、日本は負けました。だからといって、そんな傍若無人に振る舞っていいと思ってるんですか?初対面の女性に、ヘイ、ママさんなどと言うのは失礼です!
Se: まあまあ、、、
H: 黙りなさい!どうか進駐軍として品位ある行動をして下さい。
...
Su: このご婦人の言うとおりだ。今すぐガムを捨てて謝罪しろ。
Se: (ペンを返しながら)申し訳ありませんでした。
Su: 退出しろ。
Se: はい。
Su: 部下の非礼を叔母詫びします。失礼しました。
H: (頭をさげる)
K: あの、何と?
H: 部下の非礼をお詫びします、とおっしゃっています。
Su: あなたはまるでポーシャみたいだ。ポーシャを知っていますか?
H: はい、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」ですね。
ポーシャとはシェイクスピア喜劇『ベニスの商人』のなかで、夫の親友を助けるために男装して法廷に立ち、縦横な機知で、悪だくみをする商人シャイロックに勝った人物。
実際の村岡花子さんは、長年親しくしていた友人の夫がGHQに闇市で摘発された時、法廷で弁護を英語で行いました。その裁判の後、裁判長が花子さんに声をかけたそうです。「あなたはまるでポーシャみたいだ。ポーシャをしっているか?」
(アンのゆりかご―村岡花子の生涯 より)
甲府
「そろそろ、はなのラジオが始まる」
寝床から起きるお父。
JOAK
村岡家
「村岡さんは英語の翻訳家としてもご活躍ですが、どのようにして英語を学ばれたのですか?」
ラジオを聞く英治、美里、益田家。
「修和女學校で、、、」
闇市
「またラジオに出るなんて、みみずの女王も懲りないわね」
宇田川先生!
お酒をゴクリ。
宮本家
純平の遺影を前にラジオを聞く蓮子。
JOAK
「腹心の友が、翻訳の道へと進む勇気をくれたのです」
宮本家
♪
「はなちゃん、、、」
JOAK
「では、最初に英語を教えて下さったのも、修和女學校の先生方ですの?」
「いいえ、私に最初に英語を教えてくれたのは、父です」
甲府
「てっ、おれのこんけ」
JOAK
花子は、お父が修和女學校への道筋を付けてくれたことを話します。
「東京へ向かう汽車の中で、父が英語を教えてくれました」
父に感謝する花子。
甲府
「はーなー、、、」
目を閉じるお父。
JOAK
「外国の言葉を知るということは、それだけ多くの心の窓を持つということです。
戦時中はその窓も閉ざさなければいけませんでした。
さあ、心の窓を大きく開けて、一歩を踏み出しましょう。
それぞれに、戦争のむごさや、家族を失う悲しみを経験をしましたが、勇気を出して歩いていけば、その先にはきっと、一番よいものが待っていると、私は信じています」
甲府
目を閉じて動かないお父、、、
「あんた、、、あ、」
花子の声を聞きながらお父は、、、
来週、最終週は「曲がり角の先に」です。
それでは今日はこの辺で、
ごきげんよう、さようなら