花子とアン第149回 おまんは、俺の誇りじゃん
甲府
吉太郎も一緒に家族で食事をしています。
お父が感慨深げに言います。
「ほれにしても、こうやってみんなそろって、うちい集まるの、何十年ぶりずら?」
「ここは、昔のまんまだな、、、」
吉太郎は天井を見上げます。
しばらくして
「ふじちゃーーーん!てえへん、てええへん!」
リンさんが飛び込んできます。
「てつ!もしかして、、、吉太郎け?」
「どうもおばさん、ご無沙汰してます」
吉太郎に驚くリンさん。
リンさん、甲府の集会場に来た「岡晴夫」の入場券を持ってきたようです。
お母を誘いますが、お母は家族水入らずなので断ります。
ん?なにこれ?
スピンオフと何か関係あるのでしょうか?
夜
話し合うお父と吉太郎。
「ずっとここで、百姓やってりゃよかったのかな、、、
お父に精一杯逆らって、このうち捨てて、憲兵になったけど、、、」
(回想)
「兵役が終わっても、そのまま軍隊に残れるように頑張ろうと思ってるです」
「てっ」
「職業軍人を目指すつもりでごいす!」
「吉太郎君!よく言った!」
「おらは、お父みたいにフラフラ生きたりしねえ!」
「自分は正しいって、信じてやってきた。
だけど、、、
全てが間違てたような気がして、、、」
「吉太郎、おまん、死のうとしてるだけ?」
「憲兵なんかならなきゃよかった。俺のしてきたことは、全部無駄だった」
「ほりゃあ、ちごう」
「慰めはいらんです!
国が負けたのに、憲兵なんかしてたやつは、生きてる資格もないって、世間はみんな思ってます
お父もそう思ってるでしょ?」
(ため息)
「ふざけるじゃねえ。
俺はおまんに家の仕事をさして、上の学校にも行かしてやれなんだこん、ずっと悔やんできた。
ふんだけんど、おまんは自分の人生を、一っから、自分の力で、切りひれーたじゃん。
違うだけ?」
(頷く吉太郎)
「必死で生きてさえいりゃあ、人生に、無駄なこんなんて、これっぽっちもねえだ。」
♪
「お万の選んだ道は、間違うちゃいん。
吉太郎、世間が何と言おうと、
、、、
おまんは、俺の誇りじゃん。
、、、
これまでも、これっからも。
うん。
よーく、けえってきてくれたな」
朝
正座する吉太郎。
「兄やん?」
「お父、お母、おらをこのうちに置いてくりょう」
「てっ!」
「おとう、葡萄酒の作り方を教せえてくれちゃあ!」
頭を下げる吉太郎。
「よーし、分かった」
「ありがとうごいす、ありがとうごいす!」
再び頭を下げる吉太郎。
「吉太郎、ふんとに、ふんとにいいだけ?」
「お母、野良仕事は久しぶりだから、足手まといかもしれんけど、一生懸命やります」
「ほうけ、吉太郎」
昼
「はな、東京に戻るだけ?」
朝市がやって来ます。
一足先に帰る予定の花子。
朝市はお父が花子のラジオを楽しみにしていたことを伝えます。
「私、ラジオに出てしゃべっていいのかどうか、まだ迷ってるさ」
「どして?」
花子は蓮子の息子が終戦の直前に亡くなったこと、
全国の子供が花子のラジオを聞いて戦地に行ったことを後悔しています。
「ほれなら、おらだって同じじゃん」
朝市もこれまで生徒たちに言ってきた言葉や、
教え子が大勢戦死したことを後悔しています。
「申し訳なくて、後悔してもしきれねえ、、、」
「朝市、、、」
「ふんだけんど、償っていくしかねえ。
自分にできる事を一生懸命やって、償っていくしかないんじゃねえか?」
朝市をみてうつむくはな。
♪ 何かいい音楽
「はな、はながふんとに話したかった話してなんで?」
「えっ?」
「戦争中にできなんだ話はいっぺえあるはずだ。
ほれを話せばいいじゃん。
はなの、『ごきげんよう』を楽しみにしてる子供は、大勢いると思う」
「はな、おらもほう思う」
「兄やん、、、」
「お父も言ってたさ、人生に無駄なこんは一個もねえって」
、、、
「朝市、ありがと。兄やん、ありがと。おかげで勇気が出たわ」
「ほれじゃ、おらもはなのラジオ、楽しみにしてるだ」
曲り先の角の先の未来に向かって、それぞれが歩き出しました。(美輪さん)
「ごきげんよう」
東京へ向かう花子。
ごきげんよう、さようなら。